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電磁波の健康被害
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電磁波の健康被害

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マンション屋上に立つ「携帯基地局」に気をつけろ!

鼻の奥の動脈が切れていた

宮崎地裁延岡支部に昨年12月16日、ある民事訴訟が提起された。原告は宮崎県延岡市の住民30人で、被告は近所のマンション屋上に携帯電話基地局を設置した電話会社。基地局の操業中止を求めている。
原告らが住む町内に基地局が設置されたのは、2006年秋のこと。直後から近隣住民らが頭痛や耳鳴りを訴え始めた。市や住民らの調査によれば、大半の症状が基地局の設置後に起きていた。これまでに約4000人もの署名を集めて基地局の撤去を求めてきたが、電話会社側が応じず、やむなく引っ越していった住民もいたという。
訴訟にかかわる関係者が言う。
「これまでに携帯基地局の撤去を求めた裁判はいくつもあったが、実際に健康被害が起きていて、データなどを示して立証を試みる裁判は全国でも初めてだと思います」
だが、訴訟にはならなくとも、携帯基地局をめぐる"壮絶な異変"は実際に起きている。
沖縄県那覇市のとある高台にそびえ立つ10階建てマンション。最上階には40代の内科医がその妻と4人の子どもと暮らしていた。
このマンションでは00年に周波数800MHzの基地局が、08年春に2GHzの基地局が設置された。そして08年春以降、家族に次々と「異変」が起きた。
中学生だった長女は鼻血を出し始め、朝になると枕や布団が赤く濡れた。止まらなくなって耳鼻科へ駆け込むと、鼻の奥の動脈が切れていた。内科医の父親によると、よくある鼻血は静脈からの出血で、動脈からの出血は「特殊な要因」によって起こる。わずか1週間後にも反対側の鼻から出血し、やはり動脈からだった。
次女は「耳が押されている感じ」と訴えて耳鼻科に通ったが、何も判明しない。やたら眠くなり、ピアノのレッスン中にも先生の前で弾きながら寝ることもあった。
三女もにわかに鼻血を出し始め、不思議とリビングのソファに座るたびポツポツ垂れた。末っ子の長男はたまにめまいを覚え、この時期に不整脈の診断も受けたという。
父親は頭痛と不眠に悩み始め、寝酒を増やしても明け方まで眠れない夜が続いた。元看護師の母親も頭痛やめまい、耳鳴りを覚え、ろれつも回らなくなり、何よりも精神的に不安定な状況に陥った。

電磁波と健康の因果関係はいまだ不明

異変はペットのヨークシャテリアにも起きた。吐血と下血を繰り返し、2.3キロあった体重が1.6キロに落ちた。点滴を受けると回復したが、自宅に戻るとまた血を吐いた。
母親が携帯基地局を疑い始めたのは、半年後のこと。総務省や携帯電話会社に相談するも「電磁波が基準内なら問題ない」と言われるのみ。だが、家族でウィークリーマンションへと避難した。すると1週間ほどで目覚しく体調が回復した。娘たちの鼻血が止まり、長男の不整脈も治まった。両親の症状もほとんどが現れなくなったという。
両親はマンション理事会で自らの体験を訴え、理事会は住民への説明会を開いた。すると、他の住民にも体調の異変が起きていることが判明した。
内科医の夫婦がマンション住民を対象に聞き取り調査したところ、マンション46世帯のうち41世帯の回答を得た。回答では、41世帯中21世帯で家族の体調に何らかの異変が起きていた。頭痛やめまい、耳鳴り、関節痛のほか、鼻血の頻発や視力の低下も複数の住民の間で共通していた。ただし、住民はみな体調の変化を「更年期障害」などだと受け止め、電磁波との関係を疑っていなかったという。
内科医の父親は、こう話している。
「私自身の症状も含め、原因不明の体調変化がこれだけ多く確認できれば、単なる個々人の特異体質では説明できない。多くの症状が2GHzのアンテナ設置を境に起きたことから、証明するのは難しいが、基地局に何か原因があったことは否定できないのではないか」
このマンションでは幸い、携帯電話会社が理事会の要望に応じて基地局を撤去した。だが、契約期間が終わらなければ撤去に応じてもらえないケースも多い。基地局の撤去を求める訴訟は主に地方で起きているが、都会だと隣人同士のコミュニケーションが少なくて問題が顕在化しない可能性もある。
無論、こうした事態が起きていることを知らない人も多い。東京都内のマンションの最上階に住む住人はこう嘆いている。
「ウチのマンションの理事会で最近、携帯電話基地局を設置しようという議案が出ている。月に1万数千円の賃貸料を得られるのがメリットだけど、一戸当たりでせいぜい数百円の計算。最上階の私は絶対に嫌だけど、みんな危機意識がなくて設置の流れを止められそうにない」
電磁波と健康との関係は、いまだハッキリしないのが実態だろう。つまりは設置して操業してみるまで何が起こるか分からない。商業施設への設置はまだしも、住宅マンションへの設置は自らの家族を実験台にし、さらに将来の資産価値に影響を及ぼす可能性もあることを念頭に、慎重に検討されるべきだろう。

全国で起こっている「携帯基地局」訴訟

頭痛、耳鳴り、めまい…、基地局の周辺でこうした体調不良を住民が訴えているのは宮崎県や沖縄県だけではない。
実は北は北海道から、南は沖縄まで全国各地で体調不良が発生し、携帯基地局との因果関係が疑われている。
2007年、兵庫県・川西市では鉄塔に据えられた携帯基地局の周辺住民が次々に体調不良を訴え、提訴。大阪簡裁の公害調停で、携帯基地局の撤去が決まった事例がある。
ただし、この事例は鉄塔が据えられた土地の所有者が土地の貸し出しの打ち切りを決めただけで、裁判所が電磁波の健康被害を認めたわけではない(撤去後に体調不良の訴えはなくなった)。
2000年代以降、福岡、熊本、大分、鹿児島の住民が次々に携帯電話会社相手に訴訟を起こしているが、いまだ、裁判所は電磁波と健康被害に因果関係は見当たらないと判断している。(最近の事例では09年2月には大分地裁で訴えを棄却。09年9月の久留米基地局差し止め訴訟では、福岡高裁で控訴棄却)。
唯一、住民側に有利な判決が出たのは北海道・札幌市のマンションの事例だが、判決理由は「アンテナの設置でマンションの外観が変わる。設置工事を進めるのは住人全員の合意が必要」というものだった。

取材・文/藤田知也
(『宝島』 2010年3月号)